○栄典授与の中期重点方針
(平成28年9月16日)
(閣議了解)
本方針は、栄典授与に関する今後5年程度の間に重視していく分野や事務の見直し等について定めるものである。各省各庁の長(勲章及び文化勲章各受章者の選考手続について(昭和53年6月20日閣議了解)(2)に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)は、平成29年春以降、5年程度の間の春秋叙勲、春秋外国人叙勲及び春秋褒章の候補者の選考については、本方針を踏まえて行い、内閣総理大臣に推薦するものとする。
1 基本方針
栄典は国家の顕彰制度であり、その授与は、日本国憲法第7条において内閣の助言と承認により天皇が行う国事行為とされている。
このような位置付けを踏まえ、栄典の授与は、公的部門・民間部門を問わず、社会の様々な分野から国家・公共に対する功労のある者を積極的に選考し、顕彰していくことをその基本方針とする。
その際、少子高齢化、地方からの人口流出、グローバル化、女性の活躍、公的部門・民間部門の役割分担の変化等の近年の社会経済の変化に対応し、毎回の春秋叙勲等において、栄典を授与すべき分野や功績を適切に見直していくものとする。
2 栄典授与分野の見直し
(1) 重視していく分野
1の基本方針を踏まえ、今後栄典授与において重視していく分野は以下の民間分野とする。
(1) 自治会、町内会等の地縁に基づいて形成された団体において功績を挙げた者
(2) 商工会議所、商工会、商店街等において地域コミュニティや地域づくりを支える功績を挙げた者
(3) 日系外国人、日本で活躍する外国人、日本に進出した外国企業の経営者等を含む我が国や我が国社会に対して功労のある外国人
(4) 新たな産業分野を開拓した企業経営者や地域経済の活性化等に貢献した中堅・中小企業経営者
(5) 公益法人等の公益的な活動を行う民間団体において功績を挙げた者
(6) 保育士、介護職員等の少子高齢社会を支える業務において長年にわたり功績を挙げた者
(7) 各省横断的な政策分野で功績を挙げた者、地域において多くの分野で功績を挙げた者など、各省各庁の長から推薦されにくい功労者
(2) 授与数の目標
重視していく分野のうち、自治会、町内会等の地縁に基づいて形成された団体において功績を挙げた者や保育士については春秋叙勲において毎回おおむね50名、外国人については春秋外国人叙勲において毎回おおむね150名に授与することを目標に、段階的に授与数の増加を図る。
(3) 既存分野の見直し
春秋叙勲の既存の授与対象分野については、その分野に関する法制度の見直し、社会経済の変化等を踏まえた再評価を行い、授与数の見直しを行う。
春秋褒章については、候補者推薦数が減少傾向にあること等を踏まえた授与数の見直しを行う。
3 栄典事務の見直し
(1) 候補者の選考・推薦方法の見直し
(1) 大臣表彰との連携
各省各庁の長は、所管する大臣表彰等のうちこれまで栄典候補者の推薦につながっていないものがないかを点検し、特に優れた功労を有する被表彰者については栄典候補者として積極的に推薦する。
(2) 外国人候補者
外国人功労者のうち、日系外国人、我が国で活躍した外国人、我が国に進出した外国企業の経営者等については、外務省のみならず各省各庁の長が、それぞれの所管行政の観点から積極的に候補者を選考する。
(3) 中堅・中小企業、公益法人等
各省各庁の長は、それぞれの所管行政に関わる地域の中堅・中小企業及び公益法人等について、積極的に候補者を推薦する。
(4) 女性候補者
女性への授与が少ない分野等において女性候補者を別枠で推薦できる措置を講ずる。
(5) 民間候補者の選考・推薦の少ない府省
各省各庁の長は、毎回の春秋叙勲において、民間分野の候補者を少なくとも1名以上推薦するよう努める。
(2) 功績評価の見直し
(1) 地域の民間候補者
自治会、商工会議所、商工会、中堅・中小企業、公益法人等の地域の民間候補者の功績評価については、団体役員等の在職期間の長さだけを重視するのではなく、地域での様々な活躍を総合的に評価するとともに、大臣表彰等を受賞している場合にはその功績を積極的に評価する。
(2) 外国人候補者
日本に在留する外国人の叙勲対象年齢を65歳以上から50歳以上に引き下げる。
(3) 企業経営者
業種別・職種別の団体役員歴等のみならず、業績伸長、経営効率化、技術開発、雇用拡大、設備投資など日本経済の成長や地域経済の活性化への貢献を積極的に評価する。
(4) 一般推薦された候補者
一般推薦された候補者が地域において多くの分野で活躍しており、地域における総合的な功労として評価できる場合には、地方自治体から内閣府へ推薦することも可能となる仕組みを設ける。
(3) 書類作成負担の軽減、電子化等による事務の効率化
内閣府は、各省各庁の長等と連携しつつ、民間候補者推薦に係る書類作成負担の軽減、推薦・審査事務の電子化等の業務改革を通じた事務の効率化を進める。
(4) 一般推薦や紺綬褒章の周知・広報
内閣府は、各省各庁の長等と連携しつつ、候補者を国民が直接推薦する一般推薦や、紺綬褒章の対象となる寄附先の公益団体の認定について、周知・広報を強化する。
4 実施状況の点検
内閣府は、本方針を踏まえた春秋叙勲、春秋外国人叙勲及び春秋褒章における栄典授与の状況について、毎年点検を行い、その結果を公表するものとする。